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アスリートの言葉学①長嶋茂雄さんの言葉を読む|その4

「乗れる状態に自分をもっていけるプレイヤーは、やはり超一流だと思うね」

(『長嶋茂雄語録』小林信也編・河出文庫・P91より)

2022.3.3 / バランスコラム

このフレーズも面白いと思います。「乗れる状態に自分をもっていけるプレイヤーは、やはり超一流だと思うね」(『長嶋茂雄語録』小林信也編・河出文庫・P91より)というところ。流れを読む、とか、流れに身を任せる、みたいな感覚を、長嶋さんは鋭くお持ちだったのでしょう。

ここで言う長嶋茂雄さんの「乗れる状態」というのは、まさに文字通り「波に乗る」ようなイメージなのだろうと想像します。「いまこの流れに乗ってしまおう」と、じぶんの身を委ねてみる…。そんなような感覚に近いのではないでしょうか。

流れのなかに心身を置いて、固定化させない。「あ、これ、この感じがいいよ」という感覚すらフィックスさせない。波や流れに身を預けてしまうようなイメージです。まさにそういう感覚を得られるよう設計されているのが、MARUMITSUのバランスボードです。

バランスボードにうまく乗れているときに「いまどうやって乗っているんだろう」とか「このままうまく乗り続けよう」とか考えだすと急にバランスが崩れます。考えないほうがいい。乗れ「た」状態を見てしまってはダメで、乗れ「ている」状態でいたいのです。

流れに乗れるひと、って、たぶん、流れを流れとして流せるひとなんです。止めてしまわない。いい状態でも、固定化させない。だから、悪いものもどんどん流せてしまう。そういう極意みたいなものを長嶋茂雄さんは掴んでいたのかもしれません。

自然体とか、流れに乗るとか、こういうものが自分のまんなかにあると、いろんなことができるだろうなあという気がします。長嶋茂雄さんというひとが、すごい記録を打ちたててきた超一流のアスリートであることの理由が、こういう身体感覚の言葉から読み解くことができます。

つづく

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