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アスリートの言葉学①長嶋茂雄さんの言葉を読む|その3

「バッティングというのは、顔の向き、角度が1ミリずれても、あとのフォームは全部違う」

(『長嶋茂雄語録』小林信也編・河出文庫・P54より)

2022.2.24 / バランスコラム

「バッティングも基本はまず姿勢に始まる」と長嶋茂雄さんは語ります。「バッティングというのは、顔の向き、角度が1ミリずれても、あとのフォームは全部違う」とも(『長嶋茂雄語録』小林信也編・河出文庫・P54より)。とてもユニークな身体観、野球観のように思います。

わたしもプロ野球選手を指導することがあります。その際、選手には実際にバッティングの構えをしてもらうのですが、そのとき選手に触れてみると、「ああ、あなたは外角の球が苦手だよね」とか、そういうのがだいたい瞬時にわかるんですね。

もちろん選手の方は、ほんの少し体に触られただけで、苦手なことをすぐに言い当てられてしまうのですからすごく驚きます。でも、わたしからすると「外角にくる球を打てる立ち方をしてない」からわかるのは当然です。打てない立ち方をしている、だから打てないし、難しい。それだけのことです。

バッティングというのは、バットを振り始めるところからではなく、立ち方からすでに始まっているのです。バッターボックスに立ったときに、外角に来ても内角に来てもいいし、引っ張っることもできるし流すこともできるし、というような立ち方で立っているか、ということなんです。

選手というのは、練習するうちに少しずつフォームが固まっていくものです。「どんな球でも打てるようでいたい」という意識でいたとしても、フォームが作り込まれるうちに形骸化した型だけが残ってしまい、じぶんでも気づかぬうちにその型におさまる動きしかできなくなっていることが多いのです。

バットを振る以前の段階ですでに悪いクセがついているというのは、「これをしたい、これをしなきゃ」という意識や取り組みが強すぎるから。そこで重要なことは「クセを外し、身体をニュートラルな状態(自然体)に導く」こと。それはまさに、まるみつのプロダクトが得意としていることです。

長嶋茂雄さんは「自然体」を基本とし、「バッティングは姿勢で決まる」と語り、素晴らしいパフォーマンスを歴史に刻んできました。その言葉は本質的で、普遍性のあるものです。野球やスポーツのみならず、あらゆる分野でのあらゆる人に参考になるはずです。

つづく

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